ヘッドハンティングなんて本当にある?いつどこで起きているのか教えます。
海外の映画やドラマを観ていると、ニューヨークやロンドンの金融街を舞台として「以前は○○社にいた私が、△△社にヘッドハンティングされてきた理由は云々…」という登場人物のセリフを耳にすることがありますよね。なんともかっこいい響きを持つ「ヘッドハンティング」ですが、言葉そのものが横文字なので日本では一般的ではないもの、と思っている方もいらっしゃるでしょう。
それが実は!ヘッドハンティングは日本においても存在し、「ハント」する専門の職種まであるのです。しかも意外と身近な場所や形態でヘッドハンティングが行われているのだとか…。
今回は、そんな謎のベールに包まれた「ヘッドハンティング」について解説します。
この記事のもくじ
ヘッドハンティングとは?
「ヘッドハンティング」という言葉は耳にしたことがあるけれど、どういったものなのかはよくわからない、という方もいらっしゃるでしょう。ヘッドハンティングとは、企業に勤めていて優秀とされる人物を、他社が引き抜いて採用しようとすることを指していいます。求人を出して、さまざまな人の応募を吟味して選ぶよりも確実に業務の上で優秀な結果・成果を出している人物を企業に迎え入れることができるので、即戦力を求める現場では特に広く浸透している採用方法です。
ヘッドハンティングは従来、外資系企業で多く行われてきた方法でしたが、昨今では人材確保のために日系企業でも一般的に行われるようになりました。ヘッドハンティングには2つのタイプ(スカウト型・登録型)があり、ヘッドハンターと言われる人材発掘のプロフェッショナルが行うのが一般的です。
ヘッドハンティングとは…
- 優秀な人物を他社が引き抜いて採用すること
- 即戦力を求める現場で広く浸透している
- スカウト型・登録型がある
- ヘッドハンターが行うのが一般的
ヘッドハンターとは
ヘッドハンターとは、人材を探している企業から求人情報を受け取り、そのニーズにマッチした人物を探す人材紹介会社の担当者を指します。
スカウト型とは
ヘッドハンティングは、人材紹介会社が代行しているケースが大半です。企業から受け取った人材のニーズを汲み取り、現実にほかの企業で勤務をしているニーズにマッチした人物に対してヘッドハンティング会社(=人材紹介会社)が転職を促す(すすめる)というのが流れです。この場合、企業から求められた人物は自ら転職を希望している人でないパターンが多いのが特徴です。
登録型とは
ヘッドハンティング会社が独自のルートでニーズにマッチした人物を探し出してくるのとは別に、転職を希望する人が自ら人材バンクに登録しておく方法があります。そのデータベースに自分のキャリアやスキルを登録しておくと、転職エージェントが、登録者と企業のマッチングを行ってくれます。この場合、自分で転職エージェントに登録しているので、該当者は転職を自ら希望している人であることが特徴です。
ヘッドハンティングと引き抜きの違い
ヘッドハンティングと引き抜き、転職市場ではどちらも同義語のように使用されていますが、実は大きな違いがあります。それは、サービスと役職との違いです。
「ヘッドハンティング」は、その響きの通り、ヘッドハンティング企業のヘッドハンターが企業Aで「ヘッド」と同等の立場にある人材を企業Bに勧誘し迎え入れる「サービス」のことを指します。当然、勧誘の対象は、経営層や管理職の立場にある方、ということになります。また、企業Bとヘッドハンティング企業の間には、サービスの対価として当然金銭のやり取りも発生します。
一方「引き抜き」は、役職を問いません。単に企業Aが企業Bの人材を直接勧誘し、転職させることを意味します。その間にヘッドハンターのような業者は入りません。ただし、優秀な人材をスカウトする、という意味ではヘッドハンティングも引き抜きも共通しています。
なお、労働者には職業選択の自由があるため、どちらも違法ではありません。それならば、ヘッドハンティング企業を介さない引き抜きの方が金銭面的にも有利、と思いきや。企業の役職者・管理職を対象とするヘッドハンティングは、ヘッドハンティングされた企業にとっては大いなる経営の脅威となります。そのため、ヘッドハンティングされた企業がヘッドハンティングをする企業に損害賠償を請求する、という事例も実際に報告されています。このリスクを最小限に留めるため、ヘッドハンティングという専門的なサービスが存在するのです。
夢のヘッドハンティング…。そんなこと本当にある?
ここまでの説明を読んで、ヘッドハンティングをされるということは自分の能力が自分の知らないどこかで評価されていて周知されているということだとわかりますよね。つまり、ヘッドハンティングの対象となっているのはとても名誉なことです。「実際にそんなすごいことあるの!?」と思われる方もいらっしゃることでしょう。
現実にヘッドハンティングは広く行われています。ヘッドハンターは業界全体で700人以上いると言われており、それぞれが常に自分の担当する業界で優秀な人物を探しています。これまでにも、勤務先から同業他社をはじめさまざまな企業に転職していった方がいたかと思います。その方々ももしかしたらヘッドハンティングされて転職していったかもしれません。
ヘッドハンティングのメリット、デメリット
華々しいキャリアに欠かせないキーワードのようで聞こえの良い「ヘッドハンティング」という言葉ですが、それぞれメリットとデメリットの両方が存在します。もし自分がヘッドハンティングにあった場合にメリットばかりに気を取られて浮かれていると、痛い目にあうこともありますので、今からしっかりと把握しておきましょう。
ヘッドハンティングのメリット
ヘッドハンティングを受ける最大のメリットはまず、「自分が認められている」ということを実感できることでしょう。ヘッドハンティングの声がかかるということは、自分が現在勤めている企業での仕事ぶりが高く評価されて、他社から引き抜きたいと思われているということだからです。
次のメリットはより現実的なものですが、「給与や待遇などがよくなる」ということでしょう。あなたのことを引き抜きたいと考えている企業も、給与やその他待遇で現状維持のままでは断られると百も承知なので、往々にしてグレードアップした内容となります。
また、給与や待遇だけではなく、働く環境としてこれまで以上に高い役職を任せて貰える場合もあります。特に、これまでの経験を生かして若手の指導や育成ができる人物と判断されれば、その若手たちの面倒を見る上長としての席が設けられるでしょう。
加えて、ヘッドハンティングに限ったメリットにはなりませんが、働く環境を一新できるというものもあります。自分で転職先を探すのではなく、先方から望まれて入社することになりますので、周りからの一目置かれる存在としてスタートできるのは嬉しいですね。
ヘッドハンティングのデメリット
メリットばかりが先立って見えますが、実際にはデメリットも存在します。知らずに浮かれていると危険ですのでご紹介します。
まず、ヘッドハンティングで引き抜かれるということは、企業に強く望まれて入社するということだと説明しました。つまり、高い基準で期待されるということと同義です。転職先の企業の期待に十分に応えられるだけの実力があれば何も問題はありませんが、そこに誤差があった場合には強いプレッシャーが苦になるでしょう。
また、ヘッドハンティングしてくれる企業が提示する給与や待遇といった条件で決めてしまうと、希望した職種・業種でない仕事をしなくてはならなくなる可能性もあります。これまでの経験やスキルが活かされるとはいえ、自分があまりにも望まない業種・職種での仕事は徐々に辛くなります。そうならないように、条件だけで決めてしまわないようにしましょう。
加えて、ヘッドハンティングのメリットにもなる部分ですが、心機一転新しい環境でキャリアをリスタートすること自体が自分にとって苦となる場合があります。新卒から長く同じ企業にいた場合、企業の雰囲気や慣習、人間関係も一気に変わるのでなかなか馴染めなくて「元の企業の方がよかった…」と思ってしまう方も少なからずいらっしゃいます。特に、日系企業から、文化・慣習・国籍のすべてが180度変わる外資系企業への転職を果たした方にこのような悩みは多く現れる傾向にあるようです。
ヘッドハンティングにも注意点がある
ヘッドハンティングされた時はすぐ飛びつくのではなく、事前に確認しておかなくてはならない事がいくつかあります。その中でも特に注意したい点を紹介します。
企業が自分にマッチしているか見極める
オファーされた企業からどんなに高い年収とポジションを提示されても、自分と企業とが完璧にマッチングすると確信できない限りは受け入れるべきではありません。特に社風や企業風土、人間関係などは個人の力で変えることは不可能ですし、ちょっとしたほころびから本来の実力を発揮できないこともあります。
転職を前向きに検討する場合は、企業について情報収集を入念に行うようにしましょう。働く環境は、お金では買えないものなのだから。
条件をしっかりと確認する
ヘッドハンティングを前向きに検討する場合、企業と面談して条件等を話し合うことになりますが、その際に雇用条件や待遇をしっかりと確認することがもっとも重要です。「今の年収の2倍約束する」「重要なポストを任せたい」そんな抽象的な誘い文句は疑ってかかるべし。この時しっかりと確認しておかないと、たとえ高額年収を提示されてもそれが続くのは数年間、成果が上がらなければ減額、最悪の場合解雇となるケースもあります。
また、ほかにも候補者がいる場合は、比較検討されて面談時の条件を確約してもらえないこともあります。本締結に進む前に、書面などで証拠を残しておくようにしましょう。
詐欺の可能性も!?
ヘッドハンティングと見せかけて、アウトプレースメント(社員を自主退社に追い込む手法)だった、ということもあるので注意が必要です。これは、リストラをやむなくされた企業が自社に悪いイメージを持たれないよう、または解雇予告手当の削減を図りヘッドハンティングを悪用するもので、まんまと騙されて自主退職してしまったら後の祭りです。
自分の実力をはるかに上回るヘッドハンティングの場合はすぐに鵜呑みにせず、まずヘッドハンターが信頼できるヘッドハンティング企業に所属しているのか、オファーされた企業は実在しているのかなど、十分に確認するようにしてください。
ヘッドハンティングが待てる転職エージェントはある?
自分から希望する企業へ応募するのではなく、あくまでヘッドハンティングされて転職したい!と考える方もいらっしゃることでしょう。その場合、ヘッドハンティングされるのを今の企業でただ待つだけでは一生その機会に恵まれないかもしれません。そんなときには、ヘッドハンティング型の転職サイトを利用してみてはいかがでしょうか。
自分宛てにヘッドハンティングの話が来るのを指をくわえて待つのではなく、一般的な転職サイトを利用するのと同じように転職者が自分のプロフィールやキャリア、今後携わりたいプロジェクトなどを登録しておくタイプのエージェントがあります。サービスによっては、自分でヘッドハンターを選ぶことができるものもあるようです。
第二新卒やフリーターにヘッドハンティングは難しい…
「ヘッドハンティングってデメリットもあるみたいだけれど、自分にとってはメリットの方が多い!」と感じられた方はぜひ今日からこの機会をつかめるように努力してください。ただし、第二新卒やフリーターの場合にはそう簡単にはいかないでしょう。
まず、ヘッドハンターは極論業界内でも特に優秀な人物を引き抜きたいという本音があります。第二新卒で転職を希望している場合、まだ業界で名が知れる、もしくは明確な成果が出るほどキャリアを積んできていないと判断されるのが一般的です。これまでのキャリアや成果を軸に活躍してほしいからこそヘッドハンティングで採用したいと思っている企業からすると、対象外の人材なのです。
また、現在フリーターである場合も同様です。特に、これまで継続して勤務をしてきていない方の場合には特に難しいでしょう。
まずは、正社員での転職を実現し、日々の業務でしっかりとした成果や業績を作った上でヘッドハンティングされるのを待つ、もしくは転職のプロフェッショナルである転職エージェントに登録して転職先を探すのが一番の方法ではないでしょうか。
こちらの記事では頼れるエージェント、失敗したエージェントをぶっちゃけ解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
これまで外国映画・ドラマの中でしか見聞きしたことのないヘッドハンティングも、意外に身近なものであることがおわかりいただけたのではないかと思います。ヘッドハンティングされたい!と思われる方は、まずは社内で評価されるだけの成果・実績を積むように努力しましょう。その先に、夢のヘッドハンティングをされる可能性は大いにありますよ!