正社員だけどボーナスなしって…。待遇の悪さで転職したくなった時の対処法

正社員として働いているのに、6月12月のボーナス時期に喜ばしいこともなく働く意欲を失ってはいませんか?一般的には、正社員として勤務していると6月12月の2回ボーナスを受け取っている人が多く、街は少し華やかで浮かれている様子になりますよね。
そんな空気の中、ボーナスがなく正社員として働いているのが馬鹿らしく感じたら、転職のチャンスです。現状の待遇を良くするためにも、自分の希望にあった職場に転職することをひとつの選択肢として捉えてみませんか?
この記事では、正社員なのにボーナスを受け取っていないという方に向けて、さまざまなアドバイスをお伝えします。ぜひ参考にして、今の不満を解消できるようにしてくださいね!
この記事のもくじ
正社員なのにボーナスなしってやっぱり待遇悪い?
学生で就職活動をする際に、年間の収入目安や福利厚生の有無、転勤の可能性有無などには注意したものの、ボーナスの有無についてまで確認していいなかった!という方は意外に多いものです。正社員なのであれば、「満足できる金額でなくともボーナスを受け取れることが当たり前」と考えている方も非常に多く、その結果不満に思ってしまうという状態に陥ります。
実際、ボーナスなしという就業状態は待遇が悪いのでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう。
ボーナスなしは法的にOK
まず知っておかなければならないのが、企業側は、従業員に対して必ずボーナスを支給する必要はないということです。つまり、就職した段階で結んだ契約内容にボーナスの支給について項目がなかった場合には、ボーナスはない企業として法的に認められているのです。
ただし、就業する際に結んだ、
- 会社の就業規則
- 労働組合と会社間で交えている労働協約
- 労使個別と会社間で結ばれている労働契約
においてボーナス(賞与)に関する記載がなされている場合には違法性がありますので注意しましょう。これらの書類に関しては、社員はいつでも開示できるので、気になる場合には担当の部署に問い合わせてみましょう。
いきなりボーナスなしは違法
上記であげた3つの取り決めの中でボーナスに関する記載があり、企業側がボーナスを支払うという内容で取り交わされているにもかかわらず、企業側の一方的な判断で通知なくボーナスの支払いが行われない場合には「違法」となります。
ボーナスや賞与なしが改善される可能性はどれくらい?
前章で触れたとおり、就業のタイミングで結んだ契約書などにボーナスに関する記載がない、もしくはボーナスは支払わず月々もしくは年の給与の一部に含まれているという内容である場合には、企業側にボーナスを支払う義務はありません。一方ボーナスが受け取れるはずの状況であるにもかかわらず支払われていない場合には、いくつかの方法で改善を求めることができます。
上司に相談する
自分が交わした契約書や、就業規則上ボーナスが支払われるはずである場合、まずは直属の上司に相談してみましょう。もしかしたら、ボーナスを組み込んだ年俸制度などに修正してくれるかもしれません。面倒臭そうにあしらわれてしまった場合は、上司としての義務を負っていないといえます。上司に期待せず次のステップを踏みましょう。
人事部に相談する
自分が交わした契約書や、就業規則上ボーナスが支払われるはずであり、また上司に相談しても埒が明かないという状況の場合、一度人事部に相談してみましょう。その相談を反故にするのであれば、企業として問題があることはいうまでもありません。
労働基準監督署に相談する
会社としてボーナスを支払う義務から逃れろうとしているような状況であると感じた場合には、最終手段として労働基準監督署に相談するという方法があります。
労働環境が著しく劣悪であると判断された場合には、労働基準監督署から企業に対して改善を求めるような指導が入ります。その結果、ボーナスが支払われるようになる可能性もゼロではありません。
ただし、この手段はあくまで最終手段であるという認識を持っておく必要があるでしょう。
ボーナスにも種類がある
厳密に言えば、ボーナスの種類も公務員と民間企業とでは異なります。
公務員の場合
- 期末手当
- 勤勉手当
民間企業の場合
- 基本給連動型賞与
- 業績連動型賞与
- 決算賞与
などがあります。
なお、民間企業の各ボーナスは、企業がその形態を採用しているかしていないかで決定するので、必ずしも支給されるとは限りません。
公務員のボーナスの種類
期末手当
在職期間に応じて、6月と12月に定率で支給される賞与です。支給額は、基礎額(給料月額+扶養手当+地域手当+その他調整額等)×支給割合(変動)×期間率(在職期間)で決定します。休職期間中であっても、在職期間÷2の約8割が支給されます。
勤勉手当
民間企業の成績査定分(業績連動型賞与)に相当する賞与です。一般的には12月に支給されます。支給額は勤務成績などによって異なり、基礎額(給料月額+地域手当+その他調整額等)×成績率(業績評価)×期間率(在職期間)で計算され、基準日(6月支給なら6月1日、12月なら12月1日)に休職・休業している場合など支給されないケースもあります。
民間企業のボーナスの種類
基本給連動型賞与
日本の企業でもっとも一般的なのが「基本給連動型賞与」です。いわゆる、「給与の〇カ月分」というもので、その響きのとおり基本給に連動して賞与の支給額が決定されます。ここで注意したいのが、「手取り」ではなく「基本給」だということ。基本給とは、残業手当や通勤手当などの各種手当をすべて除いた基本の賃金であり、どれだけ毎月の手取りが高額であっても基本給で計算されるため、基本給が低い企業ではボーナスも低い傾向にあります。
業績連動型賞与
企業の業績により変動して支給されるのが「業績連動型賞与」です。求人では、「業績に応じて支給」と記載されることが多いです。年俸制の外資系企業などでは割とこのスタイルが採用されています。従業員個人やチームの成績に応じて支給額が決定されるため、従業員やチームの士気が上がるというのが最大のメリットである一方、支給額の算出が分かりづらく公平性を欠くというデメリットもあります。そのため、賞与額の基準をガイドライン化している企業が大多数です。企業にとっては、一律に賞与を支給する必要がないので固定費の削減にもつながります。
決算賞与
決算時に企業の業績が良かった場合、従業員に臨時的に支給されるボーナスです。決算とは、税金の申告や株主への報告のために1年間の利益・損失を計算し、業績を明確にする手続きのことを指します。当然、決算で業績悪化が明らかになった場合は支給されない可能性もあります。企業にとっては法人税の節税対策にもなるため支給するメリットは大きいと言われています。
正社員なのにボーナスなしで働く人の割合はどれくらい?
企業側に不備がなく、ボーナスなしで正社員として働いている人はいったいどのくらいいるのでしょうか。厚生労働省の毎月勤労統計によると、
- 2015年度:約30%
- 2016年度:20%前後
- 2017年度:20%前後
- 2018年度:約30%
- 2019年度:約30%
- 2020年度:30%弱
出典:毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査) 結果の概要|厚生労働省
上記が正社員として就業しながらもボーナスを受け取っていないという結果です。約10人に1人という割合ですね。ただし、この数値の中には
- 企業の業績が悪く、ボーナス支給に至らなかった
- 中小企業であり経営が大企業ほど安定しない
- 月給を高く設定している(賞与を含んだ給与基準)
である企業も含まれているので、待遇として劣悪であるかどうかは直接判断できません。また、夏季賞与よりも年末賞与が支給されている割合が高く、コロナ禍の2020年度は夏季・年末ともに例年よりも支給率が低下しているのが特徴です。
ボーナスありとなしではどれくらい年収に差がつく?
例えば、毎月の手取りが25万円だとすると、税金や社会保険を引かれる前の額面は約30万円であり、ボーナスなしの場合の年収は30×12=360万円です。これがボーナスが例えば年に2回(基本給連動型賞与)、各1カ月分支給されるとなると、基本給にもよりますが360万円+(基本給×2)が年収になります。
ただし現実には、ボーナスがある場合でも企業の業績によりカットされることに加えて、ボーナスなしの方が基本給が高い傾向にあるので、ボーナスなしの方がボーナスありよりも年収が上回るケースもあります。つまり、ケースバイケースということです。
一般的にボーナスなしの企業の中には退職金を支給しないケースもあるので、長い目で見たらボーナスありの企業の方が生涯賃金は稼げるかもしれません。
待遇の悪い正社員で働き続けることに疑問が湧いたら
ここまでご説明した条件に当てはまっていないにもかかわらず平然とボーナスはないという企業に就業している場合、当然ながらモチベーションも上がりませんよね。待遇の悪い企業である場合、ボーナスのみならず福利厚生に関しても同様に芳しくないケースが多く、長く修業を続けるには不安の残る企業である可能性が高いことがおわかりいただけるのではないでしょうか。
現状の待遇で働き続けたいという気持ちがなくなったら、すぐにでも転職活動を始めましょう。ボーナスが支払われないのはあなたの業務に対する評価などではなく、劣悪な待遇を当たり前としている企業側に問題があるからです。ご自身のこれまで培ってきたスキルや経験を活かし、より待遇の良い企業に転職して心身ともに健康な状態でいられるようにすることが先決です。
そして、忘れてはいけないのが転職活動のタイミングで給与に賞与は含まれるのか、もしくは定期的にボーナスとして支払われるのか、といった待遇面を契約締結前にきちんと確認しておくことです。
入社を決めるかどうかのタイミングで、待遇や福利厚生、社内での人事にかんする質問や要望に対してうやむやにする企業は間違いなくその他の部分での劣悪な状態であることがうかがいしれます。
入社のタイミングで少しでも疑問が残ったり、不安に感じるような要素がある場合には、転職エージェントに一度相談してみましょう。面接の場などで直接確認すると角が立ちそうな内容に関しては、転職エージェントが代わりに確認してくれます。
こちらの記事では、企業にはなかなか面と向かって聞けないボーナスの有無を事前に教えてくれる良心的な転職エージェントを紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
まとめ:「待遇が悪い」と嘆いても後悔先に立たず。リスク管理を徹底的に
ブラック企業という言葉が流行って久しく、また企業側に対してさまざまな指導が入っているにもかかわらず、社員に対して十分な待遇を与えず働かせている企業はまだまだたくさんあるのが現状です。
契約書を取り交わしてしまってからでは、待遇への不満はただの文句となってしまいます。社会人として、契約書を交わす前に、業務内容やポジション、勤務地などといった内容と合わせて、待遇についてもきちんと細かなところまで確認するようにしましょう。
それでも不安な場合には、転職エージェントに前もって企業の体質についてリサーチしてもらうとさらに安心ですね!転職活動をする以上、今よりも良い環境で働けることを心よりお祈りしております。