大手ゼネコンの仕事ってどんな内容?将来性・待遇など本当のところ

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ゼネコンは「スーパーゼネコン」「準大手ゼネコン」「中堅ゼネコン」の3つに大きく分類されます。そして準大手ゼネコンをさらに細分化して派生したのが「大手ゼネコン」です。他ゼネコンと何が違うのか、あまりしっくりしない人も多いのではないでしょうか。
そこでこちらの記事では、大手ゼネコンの仕事内容や、転職に必要な情報などについてご紹介します。

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この記事のもくじ

大手ゼネコンの企業一覧

準大手ゼネコンの中でも、年間売上高が4,000億円以上のゼネコンを大手ゼネコンと呼びます。そこで、2022年3月期において年間売上高が4,000億円以上を達成した大手ゼネコンをクローズアップ。社員の平均年収も含め調査しました。

長谷工コーポレーション

長谷工コーポレーションは、日本のマンションストックのおよそ1割に相当する累計670,397戸(2021年5月末現在)を施工してきたマンション業界のリーディングカンパニーです。ゼネコンだけではなく、都市計画や街づくりなどの開発段階から関わる「デベロッパー」としての顔も持っているのが特徴です。2022年3月期の売上高は6308億円以上、社員の平均年収は約910万円(平均年齢41.2歳、平均勤続年数16.9年)と、大手ゼネコン3社の中でも群を抜いています。

戸田建設

1881年の創業以来、学校や病院など生活に寄り添う建物をはじめ、国の重要文化財やインフラなど、さまざまな施工に携わってきた戸田建設。みなとみらいのシンボルである「パシフィコ横浜・ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル」を手掛けたのも同社です。2022年3月期の売上高は4517億円以上、社員の平均年収は約876万円(平均年齢44.6歳、平均勤続年数19.1年)となっています。

五洋建設

2021年4月に125周年を迎えた五洋建設は、土木・建築・海外の3領域で強みを持つゼネコンです。特に海洋関係の建設工事に定評があり、マリコンの名を欲しいままにしています。また、海外展開にも注力。東南アジアを中心に、大規模インフラ、大型商業施設や病院の建設などグローバルな社会貢献につなげています。2022年3月期の売上高は、4289億円以上、社員の平均年収は約860万円(平均年齢41.9歳、平均勤続年数16.9年)。

参考:

長谷工コーポレーション2022年3月期有価証券報告書

戸田建設令和4年有価証券報告書

五洋建設第72期有価証券報告書

大手ゼネコンの役割や仕事内容は?

大手ゼネコンの役割と仕事内容を詳しく見ていきましょう。まず、ゼネコンとは?

ゼネコンとは?

ゼネコン(元請け)とは、道路や橋などの「土木工事」+ビルやマンションを建てる「建築工事」をすべて請け負う総合建設業のことを指します。ゼネコンは企業の年間売上高によって大きく3つに分類されます。

内訳は、1,000億円超の企業を「中堅ゼネコン」、3,000億円超の企業を「準大手ゼネコン」、1兆円超の企業は「スーパーゼネコン」となっています。特にスーパーゼネコンについては、大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店の5社がその名を独占しています。

そして「大手ゼネコン」は準大手ゼネコンをさらに細分化したもので、4,000億円超の規模の企業を指します。また、護岸工事や海底トンネル工事など、海洋関係の建設工事に特化したゼネコンは「マリコン」と呼びます。

建設業界の大きな特徴の1つに重層的な下請け構造があります。これは、国・自治体・民間企業などがゼネコンに工事を依頼→ゼネコンから専門業者(下請け)に業務を発注→専門業者がさらに中小企業(下請け)の技能工に業務を発注して建設を進めていく形態です。

元請け側には自社だけでは不可能な仕事も受注できる、下請け側には営業や開発をすることなく一定量の業務量を確保できる、などのメリットがあります。

大手ゼネコンの役割

建設コンサルタントが設計した鉄道や橋梁やトンネルなどの土木構造物、建築設計事務所が設計した商業施設などの大規模な建築構造物などを施工し、社会インフラと街を整備することが大手ゼネコンの役割です。役割を遂行するため、施工全体をマネジメントします。

大手ゼネコンの仕事内容

ゼネコンの特徴は、「設計」「施工」「研究」の3部門を自社に有していることです。

「設計」では、クライアントの要望をヒアリングし、建築物などの設計を行います。建物設計と土木設計では設計内容も異なり、まず建物設計の場合は、「意匠設計(建築物の形態の設計)」「構造設計(土台と骨組みの設計)」「設備設計(室内環境の設計)」を行います。次に土木設計の場合は、「概略設計(計画の枠組みの設計)」「詳細設計(枠組みをベースにした詳細の設計)」を行います。

次に、「施工」では、工事をスムースに進めるため、工程・コスト・品質・安全面をマネジメントします。最後に「研究」では、高品質低価格を追求するための技術を研究・開発します。

第二新卒や未経験の場合、年収はどのくらい?

技術職の場合、第二新卒や未経験は即戦力にならないので、年収については各社が設定する大卒初任給程度と考えておいた方が良いかもしれません。例えば、新卒で大手ゼネコンに入社した場合、20代の平均年収は約400万円ほどと言われています。

参考まで、冒頭でご紹介した長谷工コーポレーションの「第二新卒/未経験歓迎」求人を某求人サイトで確認したところ、職種は「人事」で、予定年収は550万円~750万円と記載されていました。

よって、第二新卒や未経験で大手ゼネコンに転職して高年収を目指すなら総合職の方がまだ可能性があると考えられます。たとえ総合職で採用されても、ジョブローテーションでさまざまなキャリアを積めます。その中で専門知識について理解を深めるとともに資格を取得すれば、数年後には高額の年収に到達することも考えられます。目の前の年収にとらわれないようにしましょう。

大手ゼネコンの将来性

東京オリンピック・パラリンピックの大規模な建設は終了しましたが、大阪万博の開催、2027年のリニア中央新幹線などの開業も控え、大手ゼネコンには今後もさらなる需要が見込まれると考えられています。

しかし、長引くコロナ禍に加え、2022年ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに原油が高騰。建設資材の鋼材・木材の価格もアップし、たとえ大手ゼネコンでも油断ならない状況となっているのも事実です。

そこで大手ゼネコンは、海外へのインフラ技術の輸出をはじめ、自社IT分野やITベンチャー企業への投資を積極的に推進しています。新たな施策に取り組むことで、大手ゼネコンは今後も飛躍していくでしょう。

大手ゼネコンへの転職で有利な経験や資格

大手ゼネコンに転職をする際に必要な資格は特にありませんが、資格を取得することで採用が有利になり、給料アップも期待できます。こちらでは、実務経験不要で取得できる、ゼネコン転職に有利な資格を集めました。

電気工事士(第二種)

住宅や店舗、工場などで600ボルト以下(低圧)で受電する電気設備の工事を行う際に必要な国家資格です。屋内での電気配線工事、コンセントの設置工事等を行うことが可能。建築士、施工管理などの職種には基本の資格とされ、難易度も低いので必ず取得しておきましょう。

消防設備士(乙種)

建築物の消防設備の工事・点検・整備をする時に必要な国家資格で、年齢も学歴も制限なく受験できます。筆記試験と技能試験があり、難易度は低いです。そのため、資格保有者が多く、保有していないと不利になる可能性もあります。設計職、施工管理職、営業職を狙う人はチェックしてください。

インテリアコーディネーター

建築物における家具やカーテン、照明等をトータルプロデュースするインテリアコーディネーターの資格です。工務店や設計事務所などの建設会社、ゼネコンでインテリアコーディネーターとして働くほか、照明プランナーとしても活躍できます。民間資格ですが、資格手当が加算されることが多いのもポイントです。

一級建築士

建物の規模を問わず設計や監理を行える国家資格です。受験科目は5科目(施工・法規・計画・環境、設備・構造)で、建築における幅広い知識を必要とします。なお、建築士法の一部改訂により、令和2年度から受験資格に実務経験が不要になりました。建築系の学科を卒業した人、二級建築士、建築設備士の資格保有者であれば受験可能です。

難易度は高いですが、当資格を保有することで「監理技術者」「コンクリート主任技士」などの資格も実務経験不要で受験できるので、受験資格に該当する人は取得しておきましょう。

大手ゼネコンに転職するときの注意点

まず大前提として、大手ゼネコンに就職するためには、大学か専門学校の建設系学科卒業以上の学歴が必要です。施工管理職の中には高卒者もいますが、それは高卒で建設会社などに入社し、キャリアを築いて即戦力として大手ゼネコンに中途入社したということです。まったくの未経験から大手ゼネコンを目指す場合、経験者のライバルも多いので条件が厳しいです。

また、異業種→ゼネコン転職は30歳限界説というのを心得ておきましょう。建設・建築業界には、特に専門の知識やスキルが求められます。会得するためにも、転職は「善は急げ」がお約束です。

最後に、大手ゼネコンの平均年収は大変魅力的ですが、年齢や勤続年数、職種のトリプル効果で全体の年収が吊り上がっていることを理解しておかなければいけません。そしてこの金額も、残業や資格など各手当の上で成り立っています。

まとめ:スキルを磨くor視点を変えれば、大手ゼネコンへの転職も夢じゃない

上場ゼネコンの中でもスーパーゼネコンに続く売上高を誇る大手ゼネコンは、給与もハードルも高いことが判明しました。第二新卒や未経験が転職するためには並々ならない努力とスキルが必要ですが、一つひとつクリアして挑戦してみてはいかがしょうか。

近年では建設・建築業界のIT化も進んでいます。第二新卒や初心者なら、そうした側面からのアプローチを検討するのも有効でしょう。