第二新卒ってどこからどこまで?企業からどう見えるの?
新卒で入社した企業で働き始めて数年経過し、「自分がキャリアを築くべき場所は、この会社ではないかもしれない…」と思っているあなた。まわりの大人に相談しても、昔ながらの『石の上にも3年』というような趣旨の言葉を繰り返され、腑に落ちないまま日々を過ごしているとしたらそれは時間の無駄遣いです。
キャリアが浅い人こそ第二新卒での就職を前向きに検討し、自分のポテンシャルを最大限生かせる場所へと自ら動く時代です。ここでは、そんな第二新卒に関する説明と、実際企業からはどのような扱いなのかを解説します。
この記事のもくじ
本当に正しい第二新卒の定義
まず、上記に該当した方は自分が第二新卒という対象なのか気になりますよね。実は第二新卒にはこれといった法的な定義などはありませんが、一般的に大学や専門学校などを卒業した後に就職した企業で3年未満程度キャリアを積んだ人のことを指します。年齢でいうならば、大学を卒業している人でだいたい25歳から27歳、大学院を卒業していればそれに加えて2~3歳というところです。最近では30歳までを第二新卒として扱っている場合もあるようです。ただし、企業によっては第二新卒というふわっとした定義ではなく、最終学歴として○○年以前に学業を修了している方、といった具体的な定義をしている場合もあるので注意しましょう。
いずれにしても、大学を卒業してそのまま入社する新卒とは異なり、短期間でも社会人として勤務をした経験のある人材として定義されていることは共通しています。また、学業を修了したのち就職せずにいた方は「既卒(きそつ)」と呼ぶことが多く、第二新卒には当てはまらないケースとなります。この違いははっきり意識しておきましょう
ちなみに、既卒と第二新卒の違いは?
冒頭でもお伝えした通り、既卒と第二新卒には明確な違いがあります。それは、「就職して働いた経験があるか」ということです。一般的には、社会人経験がある人のことを言い、新卒入社後に正社員として1~3年弱働いた経験がある人で、年齢は25歳前後の人を指します。ただ、いずれも法律で定められているものではないため、期間や雇用形態などの考え方は企業によってさまざまです。
例えば新卒で就職後、1年未満で退職した人を第二新卒として考える会社もあります。その一方で、「早期離職」「短期離職」として第二新卒とは区別して考える企業もあります。また、年齢に関しても大学卒と大学院卒では差があります。浪人や留年、海外留学など経歴もいろいろあるため、年齢ではなく社会人経験が数年あり、これから伸びしろがある人材という定義で考え、30歳未満までを第二新卒と考える企業もあるようです。雇用形態についても、派遣社員や契約社員も含める場合もあります。
このように細かい条件にはばらつきはありますが、既卒と第二新卒との差は「新卒で就職して働いた」という点で線を引かれていると言えます。
フリーターと第二新卒はどう違う?
フリーターと第二新卒の違いも同様に「就職しているか」という点です。正規雇用の正社員採用を就職と考えるのが一般的ですが、非正規雇用の契約社員や派遣社員の場合も含める場合もあります。一方、フリーアルバイターの略称であるフリーターは、在学していない非正規雇用者のことを指し、正規雇用者とは分けて考えられます。そのため、正社員と勤務時間が同じだったり、リーダーなどの役割を与えられていたとしても、アルバイト契約のフリーターは第二新卒とはみなされません。
第二新卒は年齢以外にこんな風に定義できます
第二新卒を表す明確な定義はないものの、企業側の考え方には共通認識がありそうです。どのような人をイメージしているのか見てみましょう。
- 社会人と新卒の中間
- 若い社会人経験者
- 最低限のビジネススキルが身についている
- ポテンシャルがある、成長を期待できる
- 会社に染まっていない、考え方が凝り固まっていない
第二新卒がどう見えるものなのかの部分で、伸びしろがあることと教育コストが抑えられることがメリットだと紹介しました。それは、基本的なマナーやスキルが身についていて、会社のカラーに染まっていないということに魅力を感じていると言い換えることができます。そういった人を採用することが、企業にとってメリットが大きいという認識は多くの会社に共通するようです。
「第二新卒」ができた背景は…
遡れば昭和の高度経済成長期を経験した世代にとっては、就職=終身雇用を意味し、通常定年までその企業(もしくは関連企業)で定年を迎えるという勤め上げ方が日本においては一般的でした。無論、転職や脱サラといったキャリアチェンジをする人はいましたが、現代に比べると圧倒的に少なかったのが特徴です。
しかし、度々の不況、そして景気の回復を経て、日本においてもキャリアは自分で築き上げていくというスタイルが一般化してきました。かつてであれば、入社して数年での退職はドロップアウトのように思われていた節もありますが、現代では自分でキャリアアップやキャリアチェンジを望んでの選択肢のひとつとなっています。
また、企業側としてもその第二新卒を必要としている背景があります。近年の著しい景気回復により新卒採用は売り手市場となり、結果的に多くの企業が優秀な学生を採用人数まで採り切れない現状が続いています。そんな中で、キャリアアップ・キャリアチェンジを望んで入社希望してくる優秀な第二新卒は喉から手が出るほど欲しい人材なのです。
加えて、「新卒の約30%が3年以内に辞めてしまう」という時代の流れも第二新卒を生み出した背景にあります。やっとの思いで採用した新卒社員が3年以内に辞めてしまう現状を鑑みれば、何としても若手を補充したいのが企業の本音です。事実、多くの日本企業が第二新卒採用に前向きな姿勢を示しており、それは大手企業のみならず、地域性の高い中小企業も同様です。
参考:第二新卒とは?|20代・第二新卒向け転職支援サイト
実際に企業から「第二新卒」ってどう見えるもの?
ここまで読んで、現状多くの企業が第二新卒を前向きに採用したいと考えているということがおわかりいただけたと思います。しかし、採用したい気持ちとは裏腹に会社は第二新卒の存在に懸念点を持っているのも事実です。実際には企業は第二新卒をどのように見ているかを具体的にご説明します。
【ポジティブ面】第二新卒は…フレッシュで伸びしろがある!
なんといっても第二新卒の一番の強みは若さです。学業を終えてから数年の年齢ですので、まだまだ育成する伸びしろがあります。たとえ前職で携わってきた業務とは異なった内容の業務を任せるとしても、これまで培った古い慣習や自分のやり方といったものがないので、今までのやり方にとらわれずに業務を進めることができます。また、奇しくも同じ企業に長く勤めると、その企業ごとのカラーが根付くものです。しかし、数年の勤務経験であればそのようなカラーもつくことなく、すんなりと新しい環境へ馴染むことができます。
【ポジティブ面】第二新卒は…初歩的な研修が不要で助かる!
新卒で入社した企業では何が身につきましたか?「まだ数年の勤務経験なので大したことは身についていません…」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、実は企業側は第二新卒で入社する社員に対して、そのような大それた経験とスキルは求めていないのです。
業務上の経験が少なくても、社会人として知っている初歩的なビジネスマナーである身だしなみや言葉遣い、お客様との名刺交換の方法、それ以外にもビジネスメールの書き方、スケジュール管理の方法や電話応対の方法などは最低限身についていますよね。新卒社員だと一からすべて研修して教育する必要のある内容が、第二新卒にはすべて身についていますので、入社してすぐに業務に関する教育を始めることができて大きなメリットです。
【ポジティブ面】第二新卒は…会社の宝物
先に、新卒社員の30%が入社して3年以内に退職してしまう、とご説明しました。企業を存続させていくためには若い社員が不可欠ですが、毎年30%ずつ辞めていってしまわれてはいつまでも必要な人数の若手を揃えることができません。そのような現状の中で、未来ある若手として入社してくる第二新卒は企業にとってとても大切な存在です。20代の若い社員が入社することで、企業としての存続も安心できますし、新卒社員とはまた違ったフレッシュな風を送り込んでくれる存在でもあるのです。
【ネガティブ面】第二新卒は…またすぐ辞めてしまう…?
しかしながら、第二新卒が持つイメージは必ずしもポジティブなものばかりではありません。何しろ、学業修了後に就職した企業でまだ数年しか勤務していないにもかかわらず退職してしまったという事実があります。前向きな理由をもとに転職希望しているとしても、入社した後また同じような年数で他社に転職していってしまうようではせっかく採用して育てていっても大きな損失となりますので、飽き性で、継続して企業に貢献できそうにないタイプは採用したくないというのが本音です。したがって、第二新卒で採用試験を受ける際には、次の企業ではしっかりと根を下ろして勤務していく気持ちでいることを伝えるようにする必要があります。
第二新卒は今、まさにアツく積極採用中?
これまでは就職したら3年は続けないと次がないとも言われていましたが、実際のところはどうなのでしょうか。現在の市場などを加味して、第二新卒の今について見ていきましょう。
第二新卒ができた背景でも少し触れましたが、売り手市場かつ入社後3年以内の退職者が増加している今、第二新卒の需要は高まっています。2016年の調査では、652社のうち約6割が第二新卒を積極的に採用したいというデータも出ています。そして、2018年12月時点でマイナビ転職に掲載されている求人のうち、第二新卒歓迎のチェックがついている求人は約84%を占めているようです。大手や中小企業に限らず、どこも若手の採用に苦戦する中、第二新卒への期待が高まっていることがうかがえます。
新卒採用に応募することはできる?
第二新卒の考え方は企業によって違うので、一概には言えません。新卒枠で第二新卒の応募を受け付けている企業もあれば、そうでない企業もあるというのが現状です。
ただひとつ言えることは、新卒枠に応募しても不利になる可能性が高いということ。同じくらいの年齢とはいえ、できればまっさらな状態の新卒を採用したいと考える企業の方が多いという一面もあるのです。転職の成功率を高めたいのであれば、第二新卒に特化した転職サイトや転職エージェントを活用して、第二新卒歓迎の求人にひとつでも多く応募することだと思います。第二新卒を積極的に採用している企業は、新卒と比較して第二新卒の魅力も分かってくれているので、内定をもらえる可能性も高まると思います。
企業から第二新卒が求められること
繰り返しになりますが、企業が第二新卒に期待しているのは即戦力としてのスキルではありません。それを期待されている場合もあるかもしれませんが、多くの場合は「ポテンシャル」と「意欲」を期待されていると思ってください。
企業が存続していくために、若手社員の採用と成長は不可欠です。新卒採用が厳しくなってきている今、第二新卒の採用と成長が今後の企業の成長に大きく影響します。社会人経験が長い中途採用の場合、企業の考え方に染まっていたり自分なりのスタイルを持っている場合が多いため、職場になじみにくかったり、こだわりがあるために業務スピードが落ちてしまうことがあります。
第二新卒の場合は、社会経験が少ないため柔軟性があり環境になじみやすく、アイディアに富んでいたり、伸びしろが大きく短期間で結果を出す人もいるようです。企業にとっては将来を託す大切な人材です。そのため、意欲を持って新しいことにチャレンジしようとしている人を企業は求めています。ただし、ポテンシャル採用とはいえ、基本的なスキルやマナーがあると思われていることは覚えておいてくださいね。
ポテンシャルに魅力を感じて採用してくれた企業の期待に応えるために、少しでも早く職場になじみ、仕事を覚えて成果を出せるように努めましょう。
ただ…。第二新卒の最大のデメリットは?
メリットがあれば、デメリットもあります。第二新卒の最大のデメリットは、またすぐに辞めてしまうのではないかという不安を与えてしまうことです。若手社員の採用が企業にとって重要なことはお伝えしました。よって、企業としては長く働き続けることで、会社に貢献してほしいと考えています。
その不安を払拭するには、自分自身の弱みや課題を克服するために何をしているかを自分の言葉で伝えることが大切です。まずは自分と向き合い、何が原因で会社を辞めることになったのか、次の会社で繰り返さないためにはどうすればいいのかなどを具体的に考えましょう。面接の場で聞かれた際にしっかりと受け答えができれば、企業の担当者も期待をもってくれると思います。
「やっぱり第二新卒だから…」とがっかりされないためには
内定が決まる前も後であっても、相手の期待を裏切ることはよくありません。自分の期待値を下げないために、気を付けてほしいことはただひとつ。モラルを守って行動するということです。当たり前だと思っている人もいるかもしれませんが、中にはできていない人もいるようなので、今一度自分自身を振り返ってみましょう。
ネット上には、第二新卒採用に関する悪い口コミ情報がたくさん出ているのです。その中には、履歴書に嘘があった、突然連絡が取れなくなった、会議に遅刻しても謝罪がない、などいろいろなものがあります。第二新卒でなくてもこういったことをする人はいると思いますし、第二新卒でもきちんとした人もいると思います。しかし、こういったモラルのない行動は「第二新卒に多い」という印象を持っている人が多いようです。
社会人としてマナーやスキルが身についているとは思うので大丈夫だとは思いますが、日々自分の行動をチェックする癖をつけておきましょう。もしかすると、今の会社では許されていることも、別の会社では許されない場合もあるかもしれません。それによって自分の評価を下げてしまうのは非常にもったいないので、できるだけ客観的な視点で自分の行動を見るようにしましょう。
第二新卒の転職はやり方次第でキャリアアップも可能!
第二新卒で転職する場合には、新卒社員とあまり変わらない条件で転職することになると思ってはいませんか。もちろんそれを希望して転職することもできますが、第二新卒で転職する場合でも、キャリアアップすることは可能です。
第二新卒は『ポテンシャル採用』とも言われるほど、これまでの勤務経験やスキルを活かした採用ではなく、あくまでポテンシャルを見ての採用です。だからこそ、あなた自身の伸びしろをアピールすることができれば有名大手企業でさえも入社するチャンスがあるのです。
同業界で転職する場合は、とくに業界のことを少しでも理解しているというアドバンテージを持っています。その場合には、同業界でよりシェアの大きい企業の求人に応募してみましょう。すでにある程度業界のことを理解していれば、すぐに業務に馴染むこともできますし、何よりも同業界でシェアの大きい企業に転職することができれば業務の規模、年収ともに大幅にアップする可能性が広がります。
まとめ
第二新卒は応募者にとっても、企業にとってもプラスの多い採用です。自分が企業に何を求められているのかという点をしっかりと理解した上で、できることならばキャリアアップにつながる転職ができると良いですね。
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